2016年9月10日土曜日

シン・ゴジラ

観てまいりました、シン・ゴジラ。ミッドランドスクエアシネマで、夜に突然思い立って車飛ばして一人で鑑賞。

既に御覧になられた方も沢山いらっしゃるとは思いますが、皆様の感想は?(ここから下はネタバレ込みですので、近々御覧になる方はスキップされてください。)

巷間既に大量のレビューが出回っておりますので、私が何を述べようがそれらのレビューの一つと同一もしくは幾つかのレビューの混ざり合ったようなものと同一でしょうが・・・。私的にはこの映画はあくまでも国内向けのもしくは日本の政治体制というものをよく知っている人達向けの映画だな、って感じました。

未知の巨大生物が東京・横浜沖に出現し、チョロっと移動しただけで見るも無残に大都会が兆単位の損失を重ねていき首都のシステムが麻痺していく様子は、まあ、実際に同様の事象が起きてもこんなもんだろうと思いましたよ。CGのレベルは高いし、ありとあらゆる関係各位が映画の制作に絡んできていて有り得んくらいの物凄い手間隙や折衝に時間がかかってるなって思いました。

その上でこの映画の主題は実際に”予想を超えた大災害が起きた時に日本政府というのはどう動くのか”という実験を映画の中でかなり微細にシュミレートしているという。しかも笑ってしまうほど細かく。自衛権と法と”ジンケン(人権)”の狭間で揺れ動く”決められない首相”を演じた大杉漣は福島の時のバカ総理に結構近いもんだったし(コッチのほうがまだましでしたが)、今現在自体が次々と進行しているのに、情報を得ているのはそこらの民放の画面からというのもこの前の大震災そのもの。

日本の即応体制のレベルと、情報収集力の低さ、機動力の無さ、物事の決められない様を実にコレデモカと見せてくれて有り難い映画でした。私個人的にはいつも思っているんですけど、自衛隊の実働能力は別として、本当に有事が起きたら政府の情報処理能力が問題となって、尖閣や北朝鮮からのミサイルの実際の攻撃には対応できないだろうなと思っています。残念ですが・・・。

しかし、映画の中で総理大臣を載せたヘリが攻撃シーンの中のゴジラの光線の一撃でそれこそモノの見事に消え去った瞬間は思わずニヤリとしてしまいました。そしてその後に、政府の臨時代理を誰にするかも含めて実際に右往左往するところも極めて日本らしい。

シミュレーションの為のシミュレーションをするのが日本。最悪を超えた想定外が起きたらどうするのかをいつも”希望的観測”でモノの見事に駄目にするお役所仕事が日本を動かしている様は実にリアルな映画でした。中で繰り返し出てきた若手の能吏達も、出世のゲームを繰り返すうちに駄目になっていくのでしょうか。

人材の育成という意味も含めて日本が抱えるいろいろな問題と希望を見せてくれたのがこのシン・ゴジラではなかったかというのが私の感想です。

しかし、中に出てきた超タカ派の女性防衛相はありゃ間違いなく稲田さんの想定だな。w

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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

smallGさんの感想を読んで
東日本大震災の時の政府の対応にイライラした人が見たら
それを思い出してイラッとする映画なのかも知れないと思いました。
大杉漣は本当に当時の総理を演技の参考にしたんだったりして・・・笑

女性防衛相役は誰なのかググろうと思ったら
安倍総理が自衛隊幹部との懇親会でこんなことを言っていたというニュースを発見しました。
『現実の世界のみならず、今話題の映画「シン・ゴジラ」でも自衛隊が大活躍していると聞いています。私と官房長官は、短期間のうちに死亡するそうです。官房副長官は生き残っています。統合幕僚長以下、自衛隊員の皆さん、格好良く描かれているとうかがっています。このような人気もまた、自衛隊に対する国民の揺るぎない支持が背景にあるのだと思います。』

自衛隊は八面六臂の活躍ですもんね。(自分達が感謝されるときは国が大変なときだから、本当はそうならないほうがいいんだということを、自衛隊の方が震災時にインタビューで答えていましたが。)
昨日、橋下元大阪市長の番組に石破議員が出ていて防衛の話をしていたのですが、北朝鮮がミサイルを撃ってきても(一気に沢山撃ってこなければ)防御はできるけど、こちらが北朝鮮を攻撃する能力はいまの自衛隊には無いという話をしていて、不安になりましたし(中国のこともありますし)そんな軍備では自衛隊の皆さんの安全も危ないし国民を守れないのではないかと心配になってしまいました。
戦争をしないためには、「日本を攻撃したらこっちがやられるかも」と思わせるだけの備えをしておかないと駄目なんじゃないかなあ・・・と思ったりして・・・なんて話がかなりズレましたね。笑

small G さんのコメント...

安倍さんのコメントというのも既にそういう形であったんですね。知りませんでした。mOm
彼らしいのは、映画の中での首相と官房長官の死を自分たちの死として笑っている点ですが、実際はこれ管さんですからね。w
庵野秀明、少なくとも映画の中で日本の前政権の対応をカリカチュアライズしているようにも思えるんですが、穿ち過ぎか。

コメント中の最後の”戦争をしないためには、「日本を攻撃したらこっちがやられるかも」と思わせるだけの備えをしておかないと駄目なんじゃないかなあ・・・と思ったりして・・・なんて話がかなりズレましたね。”と書かれておられますが、コレ、まさに抑止力の定義そのものだと思いますヨ!まさにそれこそがデタントをもたらした恐怖の連鎖の一翼をなす源。正鵠を射たお話です。

それにしても、中に出てきた有名大学から来ていたと思われる三人の”学識経験者”といわれる人物たちのある意味痛烈な当て付けとも思えるほどの無能っぷりの描写は、この人が権威嫌いだっていうのを明示してくれてて分かりやすかったです。

もしチャンスが有ればこの”国内向け映画”をどうぞどこかでご覧ください。(意外と日米間の飛行機の中だったりしてw)